
不動産の売却を考えていると、仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかるため、想定外の出費に不安を感じる方は多いのではないでしょうか。
特に、不動産売却印紙代はいくらかかるのか、不動産売却の印紙代は誰が払うのか、売主が負担する登記費用にはどのようなものがあるのかは、契約前に確認しておきたいポイントです。
また、売買契約書に印紙を貼り忘れた場合や、印紙代の領収書をどう保管すべきか、住宅ローンが残っている場合に抵当権抹消費用がいくらかかるのかも気になりますよね。
この記事では、不動産売却時の印紙代と、売主側で発生しやすい登記費用に絞って、わかりやすく整理します。
なお、この記事では印紙代と登記費用を中心に解説します。
譲渡所得税や確定申告などの税金全体は別記事、売却後に手元へいくら残るかの計算は手残り計算の記事、住宅ローンが残っている家を売る流れはローン中売却の記事で詳しく確認する形にすると、情報を整理しやすくなります。
この記事のポイント
- 不動産売買契約書に必要な印紙代の目安
売買価格ごとの印紙税額と軽減措置の考え方がわかります - 印紙代は誰が払うのか
売主・買主それぞれが負担する一般的な考え方を確認できます - 印紙の貼り忘れや消印漏れのリスク
過怠税など、契約時に注意すべきポイントを把握できます - 売主が負担しやすい登記費用の内訳
抵当権抹消登記や住所変更登記の費用目安を整理できます
不動産売却における印紙代と登記費用の基本
不動産を売却する際には、売買代金を受け取る一方で、契約や登記に関する費用も発生します。
印紙代は売買契約書にかかる税金であり、登記費用は登記簿を売却できる状態に整えるために必要になる費用です。
まずは、印紙代と登記費用の基本的な仕組みから確認していきましょう。
- 売買契約書に貼る印紙代の基礎知識
- 売買価格に応じた印紙税額の目安
- 不動産売却の印紙代は誰が払うのか
- 印紙を貼り忘れた場合の注意点と過怠税
- 電子契約なら印紙代が不要になる場合もある
- 売主が負担する登記費用とは何か
- 住宅ローンが残る場合に発生する抵当権抹消費用
売買契約書に貼る印紙代の基礎知識

不動産の売買契約書を作成する場合、その契約書には印紙税という税金がかかります。
印紙税は、契約書に収入印紙を貼り、印紙と契約書にまたがるように消印をすることで納税した扱いになります。
消印は、収入印紙の再利用を防ぐための手続きです。
そのため、印紙を貼っただけで消印をしていない場合は、正しく納税した状態にならない可能性があります。
不動産売買契約では、売主用と買主用に契約書を2通作成し、それぞれが原本を保管するケースがよくあります。
この場合は、それぞれの契約書に印紙を貼る必要があるため、売主側も自分が保管する契約書分の印紙代を見込んでおきましょう。
売買価格に応じた印紙税額の目安

不動産売却の印紙代は、売買契約書に記載される契約金額によって変わります。
現在、不動産譲渡契約書には印紙税の軽減措置があり、令和9年(2027年)3月31日までに作成される一定の契約書については、通常より低い税額が適用されます。
主な売買価格帯における軽減後の印紙税額は以下の通りです。
| 契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
| 100万円を超え 500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円を超え 1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え 5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円を超え 1億円以下 | 30,000円 |
| 1億円を超え 5億円以下 | 60,000円 |
たとえば、3,000万円の家を売却する場合、軽減措置適用後の印紙代は10,000円です。
5,500万円で売却する場合は、5,000万円を超えて1億円以下の区分に入るため、印紙代は30,000円になります。
印紙代だけを見ると仲介手数料ほど大きな金額ではありませんが、契約時に必要になる費用なので、売却前に把握しておくと安心です。
不動産売却の印紙代は誰が払うのか
不動産売却の印紙代は、売主と買主のどちらが負担するのか迷いやすい費用です。
一般的には、売主と買主がそれぞれ契約書の原本を1通ずつ保管する場合、自分が保管する契約書に貼る印紙代をそれぞれが負担することが多いです。
つまり、売主用の契約書に貼る印紙代は売主が負担し、買主用の契約書に貼る印紙代は買主が負担するという考え方ですね。
ただし、契約書を1通だけ作成して、片方が原本、もう片方がコピーを保管する形にする場合もあります。
この場合は、印紙を貼る契約書は原本の1通だけになるため、印紙代の負担方法を売主・買主の間で事前に確認しておく必要があります。
どちらが負担するかは取引の慣習や契約条件によって異なるため、売買契約の前に不動産会社へ確認しておきましょう。
印紙を貼り忘れた場合の注意点と過怠税

売買契約書に印紙を貼り忘れた場合でも、それだけで不動産売買契約そのものが無効になるわけではありません。
ただし、印紙税の納付義務を果たしていない状態になるため、税務調査などで発覚すると過怠税が課される可能性があります。
印紙の貼り忘れや消印漏れに注意
印紙税を納めなかった場合、原則として本来の印紙税額の3倍に相当する過怠税が課される可能性があります。
ただし、税務調査を受ける前に自主的に申し出た場合は、過怠税が1.1倍に軽減される場合があります。
また、収入印紙を貼っていても消印をしていない場合には、消印漏れとして過怠税の対象になる可能性があります。
契約当日は、不動産会社や宅地建物取引士が手続きを確認してくれることが多いですが、売主自身も「印紙を貼ったか」「消印したか」を確認しておくと安心です。
電子契約なら印紙代が不要になる場合もある

近年は、不動産取引でも電子契約が利用されるケースが増えています。
印紙税は紙の契約書など一定の文書に課税される税金であるため、電子契約では収入印紙が不要になる場合があります。
紙の売買契約書を作成しない場合、印紙を貼る文書そのものが存在しないためです。
ただし、電子契約を利用できるかどうかは、不動産会社や取引相手の対応状況によって変わります。
また、電子契約であっても、契約内容の確認や本人確認の重要性が軽くなるわけではありません。
印紙代を節約できる可能性はありますが、契約書の内容は紙の契約と同じように慎重に確認しましょう。
売主が負担する登記費用とは何か

不動産売却では、買主へ所有権を移すための所有権移転登記が行われます。
この所有権移転登記にかかる登録免許税や司法書士費用は、一般的には買主が負担することが多いです。
一方で、売主側の事情によって必要になる登記は、売主が負担するのが一般的です。
代表的なものが、住宅ローンを完済した際の抵当権抹消登記や、登記簿上の住所・氏名を現在の情報に合わせる住所変更登記・氏名変更登記です。
売主が負担しやすい登記費用
- 抵当権抹消登記
住宅ローンを完済し、金融機関の抵当権を外すための登記です。 - 住所変更登記
登記簿上の住所と現在の住所が違う場合に必要になる登記です。 - 氏名変更登記
結婚などで登記簿上の氏名と現在の氏名が違う場合に必要になる登記です。 - 相続登記
相続した不動産を売る前に、亡くなった方から相続人へ名義変更する登記です。
この記事では、売主が負担しやすい登記費用のうち、抵当権抹消登記と住所・氏名変更登記を中心に解説します。
相続登記は相続関係や必要書類が複雑になりやすいため、相続物件を売却する場合は司法書士へ早めに相談してください。
住宅ローンが残る場合に発生する抵当権抹消費用

住宅ローンが残っている家を売却する場合、売却代金などでローンを完済し、金融機関の抵当権を抹消する必要があります。
抵当権が残ったままでは、買主へきれいな状態で所有権を移すことができないためです。
この記事では費用面に絞って説明しますが、住宅ローン中の家を売る全体の流れとしては、ローン残高の確認、売却価格との比較、金融機関への連絡、決済当日の完済、抵当権抹消登記という順番で進みます。
詳しい流れは、ローン中の家を売る流れと残債確認・抵当権抹消の解説記事で確認してください。
ここでは、売主が費用として見込むべきなのは、主に登録免許税と司法書士報酬だと押さえておきましょう。
不動産売却の印紙代と登記費用の内訳

ここからは、抵当権抹消登記や住所変更登記にかかる登録免許税、司法書士報酬の目安、印紙代の保管方法などを整理します。
印紙代と登記費用は、仲介手数料や譲渡所得税と比べると小さく見えるかもしれません。
しかし、契約や決済の場面で必要になる費用なので、事前に把握しておくことが大切です。
- 抵当権抹消登記の登録免許税の概要
- 住所変更登記が必要な場合と関連手続き
- 手続きを依頼する司法書士報酬の目安
- 印紙代の領収書や契約書の保管方法
- 印紙代・登記費用以外に見込む主な売却費用
- 手残り額を把握するなら費用全体で考える
- 不動産売却の印紙代や登記費用まとめ
抵当権抹消登記の登録免許税の概要
住宅ローンを完済して抵当権を抹消する場合、登録免許税がかかります。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
ここで注意したいのは、土地と建物は別々の不動産として数える点です。
たとえば、土地1筆と建物1棟の一戸建てであれば、不動産は2個と数えるため、登録免許税は2,000円になります。
土地が2筆に分かれていて、建物が1棟ある場合は、不動産3個として3,000円になるイメージです。
| 物件の例 | 不動産の個数 | 登録免許税の目安 |
| 土地1筆+建物1棟 | 2個 | 2,000円 |
| 土地2筆+建物1棟 | 3個 | 3,000円 |
| マンション1室 | 登記内容により異なる | 司法書士へ確認 |
登録免許税だけを見ると大きな金額ではありません。
ただし、実務では司法書士に登記手続きを依頼することが多いため、司法書士報酬もあわせて見込んでおく必要があります。
住所変更登記が必要な場合と関連手続き
不動産を売却する際には、登記簿上の住所や氏名が、現在の印鑑証明書や本人確認書類と一致しているか確認されます。
家を購入した後に引っ越しをしている場合や、結婚などで氏名が変わっている場合は、所有権移転登記の前提として住所変更登記や氏名変更登記が必要になることがあります。
住所変更登記や氏名変更登記の登録免許税も、原則として不動産1個につき1,000円です。
たとえば、土地1筆と建物1棟の住所変更登記をする場合は、登録免許税は2,000円が目安になります。
実務上、複数回引っ越しをしていると、現在の住民票だけでは登記簿上の住所から現在の住所までのつながりを証明できないことがあります。
その場合は、戸籍の附票など、住所の変遷を確認できる書類が必要になることがあります。
住所変更登記の義務化にも注意
2026年4月1日から、登記名義人の住所や氏名などに変更があった場合の変更登記が義務化されています。
住所や氏名に変更があった場合は、変更日から2年以内に登記申請が必要です。
正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。
売却の直前に住所変更登記が必要だと分かると、書類収集に時間がかかることがあります。
売却活動を始める段階で、登記簿上の住所と現在の住所が一致しているか確認しておきましょう。
手続きを依頼する司法書士報酬の目安

登記手続きは、自分で申請することも制度上は可能です。
しかし、不動産売却の決済では、買主への所有権移転、売主側の抵当権抹消、金融機関の確認などが同時に行われます。
書類不備があると決済全体が止まる可能性があるため、実務では司法書士に依頼することが一般的です。
司法書士報酬は依頼先や地域、登記の内容によって変わりますが、目安としては以下のように考えておくとよいでしょう。
司法書士報酬の目安
- 抵当権抹消登記
1万円〜2万円程度が目安です。 - 住所変更登記・氏名変更登記
1万円〜3万円程度が目安です。 - 抵当権抹消+住所変更登記
複数の登記を同時に依頼する場合は、合計で数万円程度になることがあります。 - 相続登記
相続人の人数や戸籍収集の難易度により、数万円〜十数万円以上かかることがあります。
上記はあくまで一般的な目安です。
実際には、登記する不動産の数、住所変更の有無、相続の有無、金融機関との調整内容などによって費用が変わります。
決済前には、不動産会社や司法書士から提示される見積もりを確認し、何の登記にいくらかかるのかを把握しておきましょう。
印紙代の領収書や契約書の保管方法

不動産売却の印紙代は、収入印紙を購入して契約書に貼ることで納めるため、通常のような「税金の納付書」が残るわけではありません。
そのため、収入印紙を購入した際の領収書や、印紙を貼って消印した売買契約書の控えを保管しておくことが大切です。
売買契約書は、売却価格や契約条件を証明する重要書類です。
確定申告で譲渡所得を計算する際にも、売却時の売買契約書の写しが必要になることがあります。
また、売却時の仲介手数料や測量費、解体費などの領収書も、譲渡費用として確認される場合があります。
印紙代だけでなく、売却に関係する書類は一つのファイルにまとめて保管しておきましょう。
保管しておきたい売却関係書類
- 売却時の売買契約書
- 収入印紙の購入領収書
- 仲介手数料の領収書
- 司法書士費用の領収書
- 測量費や解体費など売却に関係する領収書
- 固定資産税等の精算書
売却益が出る場合や特例を使う場合は、確定申告で必要になる書類も早めに確認しておくと安心です。
印紙代・登記費用以外に見込む主な売却費用
この記事の中心は印紙代と登記費用ですが、不動産売却では他にも費用が発生します。
代表的なのは、不動産会社に支払う仲介手数料です。
また、物件によっては測量費、建物解体費、残置物撤去費、ハウスクリーニング費用などがかかることもあります。
さらに、売却益が出た場合には譲渡所得税や住民税、復興特別所得税が関係します。
ただし、この記事で税金全体や手残り計算まで詳しく書きすぎると、別記事と役割が重なってしまいます。
ここでは、印紙代と登記費用は「売却費用全体の一部」として位置づけ、詳細は専門記事で確認する形にしておきましょう。
| 費用項目 | 概要 | 確認の考え方 |
| 印紙代 | 売買契約書に貼る収入印紙の費用 | この記事で解説 |
| 登記費用 | 抵当権抹消や住所変更登記などの費用 | この記事で概要を解説 |
| 譲渡所得税など | 売却益が出た場合にかかる税金 | 税金専門の記事で確認 |
| ローン残債 | 売却代金で完済する住宅ローンの残り | ローン中売却の記事で確認 |
| 手残り額 | 売却価格から費用・税金・ローンを引いた金額 | 手残り計算の記事で確認 |
このように、印紙代と登記費用は売却費用の一部として把握しつつ、税金や手残り額は別の視点で整理すると混乱しにくくなります。
手残り額を把握するなら費用全体で考える

印紙代や登記費用は、不動産売却費用の中では比較的小さな項目です。
しかし、売却後に実際に手元へ残る金額を把握するには、印紙代・登記費用だけでなく、住宅ローン残債、仲介手数料、税金、測量費、解体費なども含めて考える必要があります。
手残り額の基本的な考え方は、以下の通りです。
手残り額の基本式
手残り額 = 売却価格 - 住宅ローン残債 - 売却諸費用 - 譲渡所得税など
この記事では、売却諸費用の中でも印紙代と登記費用を中心に扱っています。
実際に手元へいくら残るかを計算したい方は、不動産売却手残り計算の基本とケース別シミュレーションで、売却価格・ローン残債・税金・諸費用をまとめて確認してください。
不動産売却の印紙代や登記費用まとめ
不動産売却の印紙代は、売買契約書に記載される契約金額によって変わります。
令和9年3月31日までに作成される一定の不動産譲渡契約書には軽減措置があり、たとえば1,000万円超5,000万円以下の契約なら、印紙税額は10,000円です。
印紙代は、売主と買主が契約書を1通ずつ保管する場合、それぞれ自分の契約書分を負担するのが一般的です。
ただし、契約書の作成通数や負担方法は取引ごとに異なるため、契約前に不動産会社へ確認しておきましょう。
売主が負担しやすい登記費用としては、抵当権抹消登記や住所変更登記、氏名変更登記があります。
抵当権抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円で、土地1筆と建物1棟なら2,000円が目安です。
司法書士に依頼する場合は、登録免許税とは別に司法書士報酬も必要になります。
印紙代や登記費用は、売却費用全体の中では一部にすぎません。
売却後の手取り額を正確に把握するには、仲介手数料、住宅ローン残債、税金なども含めて総合的に確認することが大切です。
税金全体もあわせて確認しましょう
印紙代や登記費用は、不動産売却費用の一部です。
売却益が出る場合は、譲渡所得税や住民税、確定申告の有無も確認する必要があります。
税金全体の考え方を整理したい方は、不動産売却税金の計算と確定申告の手続きを解説した記事も参考にしてください。
免責事項と注意喚起
本記事で紹介した印紙税額、登録免許税、司法書士報酬などは、一般的な目安です。
税制や登記制度は法改正によって変更される可能性があり、物件の状況や契約内容によって必要な費用も変わります。
正確な情報は国税庁、法務局、法務省などの公式サイトをご確認ください。
最終的な判断や具体的な手続きについては、不動産会社、司法書士、税理士などの専門家へご相談ください。
この記事が、不動産売却時の印紙代や登記費用を整理し、安心して契約・決済へ進むための参考になれば幸いです。