
家の住み替えやライフスタイルの変化で、住宅ローンの残債がある状態で不動産を売却したいと考える方は少なくありません。
しかし、銀行へ連絡する適切なタイミングや抵当権抹消に必要な書類、さらには売却に関する費用など、わからないことが多くて不安になるかと思います。
この記事では、私自身の経験も踏まえながら、売却額とローン残高の比較方法から決済当日の手続きまでをわかりやすく解説していきます。
オーバーローン時の対策や住み替えローンの利用条件などに関する疑問もスッキリ解消できるはずです。
この記事のポイント
- ローン残債と売却査定額を比較して、売却できる状態か判断する方法
- アンダーローンとオーバーローンの違いと、それぞれの具体的な進め方
- 二重ローンを避けるための売り先行や住み替えローンの考え方
- 銀行への連絡タイミング、繰上返済、抵当権抹消、決済当日の流れ
ローン中の家を売る流れの基本と確認事項

ローン中の家を売る場合、通常の不動産売却よりも資金計画の確認が重要になります。
住宅ローンが残っている家には、金融機関の抵当権が設定されているため、売却時には原則としてローンを完済し、抵当権を抹消しなければなりません。
まずは、現在のローン残高と売却見込み額を比較し、アンダーローンなのかオーバーローンなのかを正確に把握していきましょう。
- ローン残債と売却額の比較方法
- アンダーローン時の売却の進め方
- オーバーローン時の対策と自己資金
- 住み替えローンの利用条件と審査基準
- 二重ローンを避けるなら売り先行が基本
- 銀行へ連絡する最適なタイミング
- 抵当権抹消登記に必要な書類と取得先
- 抵当権抹消の手続きにかかる費用相場
- 不動産売却決済当日のローン完済手順
- 抵当権抹消手続きを司法書士に頼む理由
- 返済が難しい場合は任意売却も最終手段になる
- ローン中の家を売る流れの重要点まとめ
ローン残債と売却額の比較方法

ローン中の家を売るときに、最初に確認すべきなのは現在の住宅ローン残高です。
金融機関から送られてくる返済予定表や残高証明書、インターネットバンキングなどを使って、現時点のローン残債を1円単位で確認しましょう。
次に、不動産会社へ査定を依頼し、家がいくらで売れそうかを把握します。
ここで注意したいのは、査定額がそのままローン返済に使える金額ではないという点です。
売却時には仲介手数料、印紙税、登記費用、司法書士報酬、引っ越し費用などがかかります。
そのため、実際には「売却見込み額から諸費用を差し引いた金額」と「ローン残債」を比較する必要があります。
確認すべき計算式
売却見込み額 − 売却諸費用 − ローン残債 = 手元に残る金額または不足額
この計算でプラスになれば売却しやすい状態ですが、マイナスになる場合は不足分をどう補うかを考えなければなりません。
最初の段階でここを曖昧にすると、売買契約後に資金が足りないことが判明し、取引が止まる恐れがあります。
アンダーローン時の売却の進め方
売却見込み額がローン残債を上回る状態を、アンダーローンと呼びます。
アンダーローンであれば、売却代金で住宅ローンを完済できるため、基本的には通常の不動産売却と同じ流れで進められます。
買主から受け取った売却代金を使って住宅ローンを一括返済し、その後に抵当権を抹消して、買主へ所有権を移転する流れですね。
手元に資金が残る場合は、新居の購入費用、引っ越し費用、仮住まい費用などに充てることもできます。
ただし、アンダーローンだからといって油断は禁物です。
売却価格が想定より下がったり、引き渡しまでに追加費用が発生したりする可能性もあるため、売却諸費用を差し引いた後でも完済できるかを必ず確認しておきましょう。
オーバーローン時の対策と自己資金

売却見込み額よりもローン残債の方が大きい状態を、オーバーローンと呼びます。
この場合、家を売った代金だけでは住宅ローンを完済できません。
住宅ローンが残ったままでは、原則として金融機関の抵当権を外せないため、そのままでは通常の売却が難しくなります。
オーバーローン時の主な対策は以下の通りです。
- 自己資金で不足分を補う
売却代金で足りない分を預貯金などで補い、ローンを完済する方法です。 - 住み替えローンを利用する
旧居の残債と新居の購入資金をまとめて借り入れる方法です。 - 売却を見送る
無理に売らず、残債が減るまで待つ選択肢です。 - 返済が困難なら任意売却を検討する
金融機関の同意を得て売却する最終手段です。
家を売って抵当権を外してもらうためには、原則としてローンを完済する必要があります。
そのため、売却代金で足りない分は、自己資金で補うか、住み替えローンなど別の資金手段を検討する必要があります。
不足額が大きい場合は、売却を急ぐ前に金融機関や不動産会社へ相談し、現実的な返済計画を立てることが大切です。
住み替えローンの利用条件と審査基準

オーバーローンで自己資金が足りない場合、住み替えローンを検討することがあります。
住み替えローンとは、今の家の売却後に残るローン残債と、新居の購入資金をまとめて借り入れるローンです。
自己資金を大きく使わずに住み替えできる可能性がある一方で、審査は通常の住宅ローンより厳しくなりやすいです。
金融機関は、旧居の残債と新居の購入資金を合算して返済能力を判断します。
そのため、年収、勤続年数、勤務先、他の借り入れ、信用情報などがより厳しく見られる傾向があります。
審査で見られやすいポイント
- 年収に対する年間返済額の割合
- 自動車ローンやカードローンなど他の借り入れ
- クレジットカードやローン返済の延滞履歴
- 新居の担保評価と借入希望額のバランス
住み替えローンは便利な制度ですが、借入額が大きくなりやすく、毎月の返済負担も重くなります。
利用する場合は、新居購入後の生活費まで含めた返済シミュレーションを必ず行っておきましょう。
二重ローンを避けるなら売り先行が基本
住宅ローンが残っている状態で住み替える場合は、基本的に売り先行で進める方が安全です。
売り先行とは、先に今の家を売却し、売却価格や手元資金を確定させてから新居を購入する方法です。
買い先行にすると、新居を先に購入できるメリットはありますが、今の家が売れるまで旧居と新居のローンが重なる可能性があります。
この状態が二重ローンです。
二重ローンになると、毎月の返済額が一気に増え、家計の余裕が失われやすくなります。
さらに、旧居がなかなか売れない焦りから、想定より安い価格で手放してしまうリスクもあります。
特にローン残債が大きい場合は、売却価格を確定させてから新居の予算を決めることが二重ローンを防ぐ重要なポイントです。
売り先行が向いている人
- 住宅ローン残債がまだ大きい人
- 自己資金に余裕が少ない人
- 売却代金を新居購入資金に充てたい人
- 二重ローンの家計負担を避けたい人
売り先行には仮住まいが必要になる可能性もありますが、資金計画の安全性を重視するなら有力な選択肢になります。
銀行へ連絡する最適なタイミング
ローン中の家を売る場合、金融機関への連絡は早めに行う必要があります。
銀行へ売却の意思を伝えるタイミングは、不動産会社と媒介契約を結んだ時点、または遅くとも買主と売買契約を結んだ段階が目安です。
住宅ローンを完済して抵当権を抹消するには、金融機関側でも書類の準備が必要になります。
多くの場合、全額繰上返済の手続きには一定の日数がかかるため、決済予定日の1ヶ月前までには銀行へ連絡すると安心です。
連絡が遅れると、抵当権抹消書類の準備が間に合わず、決済日を延期しなければならない可能性があります。
売買契約書には引き渡し日が明記されるため、売主都合で遅れると買主とのトラブルにつながる恐れもあります。
決済日が見えてきたら、不動産会社、銀行、司法書士の三者でスケジュールを共有しておきましょう。
ローン中の家を売る流れと決済日の手続き
買主が決まり、売買契約を結んだ後は、決済日に向けてローン完済と抵当権抹消の準備を進めます。
決済当日は、売却代金の受け取り、ローン完済、抵当権抹消、所有権移転が同時に行われる重要な日です。
ここでは、必要書類や費用、司法書士に依頼する理由、任意売却が必要になるケースまで整理していきます。
- ローン残債と売却額の比較方法
- アンダーローン時の売却の進め方
- オーバーローン時の対策と自己資金
- 住み替えローンの利用条件と審査基準
- 二重ローンを避けるなら売り先行が基本
- 銀行へ連絡する最適なタイミング
- 抵当権抹消登記に必要な書類と取得先
- 抵当権抹消の手続きにかかる費用相場
- 不動産売却決済当日のローン完済手順
- 抵当権抹消手続きを司法書士に頼む理由
- 返済が難しい場合は任意売却も最終手段になる
- ローン中の家を売る流れの重要点まとめ
抵当権抹消登記に必要な書類と取得先

住宅ローンを完済すると、金融機関が設定していた抵当権を抹消できるようになります。
抵当権を抹消するためには、金融機関から発行される書類と、売主側で用意する書類が必要です。
抵当権抹消に必要な主な書類
- 弁済証書または解除証書
住宅ローンが完済されたことを証明する書類です。 - 登記済証または登記識別情報
金融機関が抵当権を設定した際の登記に関する書類です。 - 金融機関の委任状
抵当権抹消手続きを司法書士などへ委任するための書類です。 - 資格証明書や会社法人等番号に関する情報
金融機関の法人情報を確認するために必要となる場合があります。 - 売主の本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなどを用意します。
これらの書類は、決済当日に金融機関から司法書士へ渡されるケースもあります。
ただし、金融機関によって必要書類や受け渡し方法が異なるため、事前確認が欠かせません。
また、住所変更がある場合は、抵当権抹消の前提として住所変更登記が必要になることもあります。
登記簿上の住所と現在の住所が違う場合は、早めに不動産会社や司法書士へ伝えておきましょう。
抵当権抹消の手続きにかかる費用相場
抵当権抹消登記には、登録免許税と司法書士報酬がかかります。
登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
一戸建ての場合は、土地と建物をそれぞれ1個として数えるため、土地1筆・建物1棟であれば合計2,000円が目安になります。
マンションの場合も、敷地権と建物の扱いによって計算が変わることがあります。
司法書士へ依頼する場合の報酬は、一般的に1万円から2万円程度が目安です。
さらに、金融機関によっては全額繰上返済手数料がかかることもあります。
費用や手続きに関する注意事項
ここで紹介した費用や税額、審査基準などは、あくまで一般的な目安です。
利用している金融機関の規定や、不動産の数、登記内容によって実際の金額は変動します。
正確な金額は、金融機関、司法書士、不動産会社へ必ず確認してください。
費用自体は大きくないことが多いですが、手続きの遅れは売買全体の遅れにつながるため、金額以上にスケジュール管理が重要です。
不動産売却決済当日のローン完済手順

不動産売却の決済当日は、買主から売却代金を受け取り、その資金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消して、所有権を買主へ移転します。
このように複数の手続きを同じ日に行う仕組みを、同時履行のメカニズムと考えると分かりやすいです。
一般的な流れは以下の通りです。
- 司法書士が本人確認と書類確認を行う
売主、買主、金融機関の書類に不備がないか確認します。 - 買主から売却代金が振り込まれる
売主の口座へ残代金が入金されます。 - 売主が住宅ローンを全額返済する
売却代金を使って金融機関へローンを一括返済します。 - 金融機関が抵当権抹消書類を渡す
完済確認後、抹消登記に必要な書類が司法書士へ渡されます。 - 司法書士が登記申請を行う
抵当権抹消登記と所有権移転登記を法務局へ申請します。 - 鍵や関係書類を買主へ引き渡す
鍵、設備書類、管理規約などを渡して完了です。
ネットバンキングで返済手続きを行うケースもありますが、大金の移動を伴うため、不動産会社や司法書士と確認しながら進めるのが安心です。
決済当日は、関係者全員が同じタイミングで動くため、1つの書類不足でも手続き全体が止まる可能性があります。
抵当権抹消手続きを司法書士に頼む理由
抵当権抹消登記は、法律上は自分で申請することも可能です。
しかし、不動産売却の決済では、買主や金融機関の安全を確保するため、司法書士に依頼するのが一般的です。
決済当日は、売主のローン完済、抵当権抹消、買主への所有権移転が連動しています。
もし登記書類に不備があり、所有権移転登記ができなければ、買主は代金を支払ったのに名義変更ができないという重大な問題が起きてしまいます。
金融機関も、抵当権が確実に抹消され、買主側の融資に必要な担保設定ができることを重視します。
そのため、司法書士が書類確認と登記申請を担うことで、取引全体の安全性を担保しているのですね。
報酬は発生しますが、決済当日の登記トラブルを防ぐための必要経費と考えておくと良いでしょう。
返済が難しい場合は任意売却も最終手段になる
すでに住宅ローンの返済が難しくなっている場合は、通常の売却ではなく任意売却を検討するケースもあります。
任意売却とは、金融機関の同意を得たうえで、ローンを完済できない状態でも物件を売却する方法です。
競売よりも市場価格に近い金額で売却できる可能性があるため、返済困難な状況では選択肢の1つになります。
ただし、任意売却は通常売却とは大きく異なります。
信用情報への影響が出る可能性や、売却後も残債の返済義務が残る可能性があるため、慎重な判断が必要です。
任意売却は、通常売却や住み替えローンとは別物の最終手段として考えるべきです。
任意売却を検討する前に
住宅ローンの返済が厳しいと感じたら、滞納が長期化する前に金融機関へ相談してください。
任意売却の判断は、金融機関、不動産会社、弁護士、司法書士など専門家の意見を聞きながら慎重に進めることをおすすめします。
ローン中の家を売る流れの重要点まとめ

ローン中の家を売る場合は、まずローン残債と売却見込み額を比較し、アンダーローンかオーバーローンかを判断することが出発点です。
アンダーローンであれば通常売却に近い形で進めやすいですが、オーバーローンの場合は自己資金、住み替えローン、売却時期の見直しなどを検討する必要があります。
住み替えを伴う場合は、二重ローンを避けるためにも、基本的には売り先行で資金計画を固める方が安全です。
買主が決まったら、決済予定日から逆算して金融機関へ連絡し、全額繰上返済と抵当権抹消の準備を進めます。
決済当日は、売却代金の受け取り、ローン完済、抵当権抹消、所有権移転が同時に進むため、司法書士や不動産会社との連携が欠かせません。
ローン中の家の売却は複雑に見えますが、残債確認、資金計画、銀行連絡、抵当権抹消という順番で整理すれば、やるべきことは明確になります。
不安な点がある場合は早めに専門家へ相談し、無理のない形で安全に売却を進めていきましょう。