
今依頼している不動産会社の対応に不安を感じて、不動産専任媒介契約解除について調べ始めている方も多いかと思います。
長期間売れない状況が続いたり、業務報告が曖昧だったりすると、このまま任せ続けてよいのか不安になりますよね。
一方で、契約期間中に解除すると違約金や広告費を請求されるのではないか、どのような理由なら安全に解約できるのかも気になるところです。
この記事では、不動産専任媒介契約解除を検討している売主の方向けに、期間満了で終える方法、途中解除できるケース、費用請求リスク、通知書の書き方、解除後に確認すべきことを分かりやすく解説します。
感情的に動いてトラブルを大きくしないためにも、まずは契約内容と解除手順を落ち着いて確認していきましょう。
この記事のポイント
- 契約期間満了で安全に終える方法
更新しない場合の考え方と伝え方が分かります - 違約金なしで解除しやすいケース
業務報告不足やレインズ未登録などの注意点を確認できます - 売主都合の途中解除リスク
違約金と実費償還の違いを整理できます - 解除通知と解除後の確認事項
通知書、内容証明、鍵や書類の返却まで把握できます
不動産専任媒介契約解除はできる?費用は?
専任媒介契約を結んだ後でも、状況によって契約を終わらせることは可能です。
ただし、どのタイミングで解除するのか、どのような理由で解除するのかによって、費用請求のリスクは変わります。
まずは、契約期間満了で更新しない場合、業者の義務違反を理由に解除する場合、売主都合で途中解除する場合の違いを整理していきましょう。
- 契約期間満了で更新しないのが最も安全
- 解除理由別の費用請求リスク早見表
- 違約金なしで解除しやすい業者の義務違反
- 売主都合の途中解除で費用が発生するケース
- 広告費や実費を請求された時の確認ポイント
契約期間満了で更新しないのが最も安全

不動産専任媒介契約解除で最もトラブルが少ないのは、契約期間の満了を待って更新しない方法です。
専任媒介契約の有効期間は、原則として3ヶ月以内で設定されます。
3ヶ月を超える期間で契約しても、専任媒介契約としての有効期間は3ヶ月以内に制限されるのが基本です。
そのため、急いで別の会社へ切り替える必要がない場合は、まず契約書で満了日を確認しましょう。
専任媒介契約の更新は、期間満了時に売主から更新の意思を示して行うのが原則で、自動的に更新されるものではありません。
つまり、売主が更新を希望しなければ、契約期間満了をもって終了できます。
契約期間満了で更新しない場合は、違約金や実費請求のリスクも比較的低く、円満に終えやすいのが大きなメリットですね。
満了で更新しない時の伝え方
契約期間満了で更新しない場合は、感情的な表現を避けて伝えるのが無難です。
たとえば「現在の媒介契約は期間満了をもって更新しない方針です。これまでの販売活動に感謝しております」といった穏やかな文面にすると、角が立ちにくいかと思います。
解除理由別の費用請求リスク早見表

専任媒介契約を解除したい理由は、人によってさまざまです。
契約期間満了で更新しない場合と、契約期間中に途中解除する場合では、費用請求リスクが変わります。
まずは、ご自身の状況がどれに近いのか確認してみてください。
| 解除理由 | 解除しやすさ | 費用請求リスク |
|---|---|---|
| 契約期間満了で更新しない | 高い | 低い |
| 業務報告がない | 高い | 低い |
| レインズ未登録・証明書未交付 | 高い | 低い |
| 担当者と相性が悪い | 中 | 中 |
| 売却自体をやめたい | 中 | 中 |
| 他社へすぐ乗り換えたい | 低〜中 | 中〜高 |
特に注意したいのは、不動産会社に明確な落ち度がないまま、契約期間中に他社へ乗り換えようとするケースです。
この場合は、売主都合の途中解除と見なされ、費用請求のリスクが高まることがあります。
一方で、業務報告がない、レインズ登録がされていないなど、不動産会社側の義務違反が疑われる場合は、売主側に解除の正当性が生まれやすくなります。
違約金なしで解除しやすい業者の義務違反
不動産会社側に義務違反がある場合は、契約期間中でも違約金なしで解除しやすくなります。
専任媒介契約では、不動産会社には一定の義務が定められています。
代表的なものが、2週間に1回以上の業務報告と、レインズへの登録です。
専任媒介契約では、媒介契約締結日の翌日から7営業日以内に、指定流通機構であるレインズへ登録する必要があります。
登録後は登録証明書が発行されるため、売主はその内容を確認できます。
また、販売活動の状況についても、2週間に1回以上の報告が求められます。
もし業務報告がまったくない、レインズ登録証明書を渡してくれない、販売状況について虚偽の説明があるといった場合は、解除を検討する材料になります。
義務違反を理由に解除する場合は、証拠を残しておくことが重要です。
メール、書面、報告がなかった期間の記録、担当者とのやり取りなどを整理してから行動しましょう。
売主都合の途中解除で費用が発生するケース
不動産会社に明確な落ち度がなく、売主の都合で契約期間中に途中解除する場合は注意が必要です。
たとえば、売却自体をやめることにした場合や、より良さそうな不動産会社を見つけたためすぐに乗り換えたい場合などですね。
標準的な専任媒介契約約款では、他社に依頼して成約した場合などの違約金は約定報酬額相当額、売主都合などによる解除時の費用償還は約定報酬額を超えない範囲とされています。
ここで大切なのは、違約金と費用償還を分けて考えることです。
違約金は契約違反に対するペナルティの性質があります。
一方、費用償還は、不動産会社が売却活動のために実際に支出した費用を返してほしいという請求です。
売主都合で途中解除する場合は、契約書の条項を確認し、どのような場合にどの費用が発生するのかを事前に把握しておきましょう。
不安がある場合は、解約を申し出る前に契約書を読み返し、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。
広告費や実費を請求された時の確認ポイント

途中解除時に、不動産会社から広告費や実費を請求されることがあります。
ただし、すべての広告費を売主が負担しなければならないわけではありません。
通常のポータルサイト掲載料や一般的な販売図面の作成費、通常のチラシ代などは、原則として仲介業務の範囲に含まれると考えられます。
一方で、売主が特別に依頼した広告や、通常業務を超える活動にかかった実費については、契約内容によって負担を求められる可能性があります。
請求された場合は、次の点を確認しましょう。
実費請求を受けた時の確認項目
- 契約書に費用負担の記載があるか
解除時の費用償還条項を確認します - 売主が特別に依頼した広告か
通常広告か特別広告かを確認しましょう - 実際に支出した証拠があるか
請求書や領収書などの根拠を確認します - 定額請求になっていないか
実費を伴わない一律請求には注意が必要です
「一律10万円」など、内訳や実際の支出が不明な請求を受けた場合は、すぐに支払うのではなく、根拠資料の提示を求めましょう。
納得できない請求がある場合は、自分だけで判断せず専門家に相談するのが安全です。
免責事項と注意点
記事内の違約金や実費請求に関する説明は、あくまで一般的な目安です。
実際の請求可否は、契約書の内容や個別の状況によって変わります。
正確な情報は国土交通省などの公式サイトをご確認ください。
また、不動産会社との間でトラブルになりそうな場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
不動産専任媒介契約解除の手続きと解除後の流れ

解除できる条件や費用リスクを確認したら、次は実際の手続きです。
専任媒介契約の解除では、感情的に伝えるのではなく、契約書と証拠を確認したうえで、書面やメールなど記録に残る形で進めることが大切です。
ここからは、解除前の準備、解約の伝え方、解除通知書、内容証明郵便、解除後の確認事項を順番に解説します。
- 解除前に証拠と契約書を確認する
- トラブルを防ぐ解約の伝え方と通知方法
- 解除通知書の書き方と必須項目のテンプレート
- 揉めそうな時は内容証明郵便も検討する
- 契約解除後に鍵・書類・レインズ削除を確認する
- 解除後から次の不動産会社へ依頼する流れ
- 失敗しない不動産専任媒介契約解除のまとめ
解除前に証拠と契約書を確認する
専任媒介契約を解除する前に、まず契約書の内容を確認しましょう。
契約期間、更新条件、途中解除条項、費用償還条項、特約欄などを見直すことが大切です。
特に、売主都合で途中解除する場合は、費用請求に関する条項を必ず確認してください。
また、不動産会社側の義務違反を理由に解除したい場合は、解除前に証拠を整理しておきましょう。
解除前に残しておきたい証拠
- 業務報告がないことの記録
いつから報告がないか整理します - メールやメッセージの履歴
担当者とのやり取りを保存します - レインズ登録証明書の有無
交付されていない場合はその事実を記録します - 販売状況の説明に矛盾がある資料
報告内容と実態が違う場合の根拠になります - 広告費請求の根拠資料
請求書や見積書、事前承諾の有無を確認します
証拠がないまま感情的に解除を申し出ると、後から言った言わないのトラブルになりやすいです。
まずは契約書と記録を整理し、自分の主張を落ち着いて説明できる状態にしておきましょう。
トラブルを防ぐ解約の伝え方と通知方法
関係が大きく悪化していない場合は、いきなり書面だけを送るよりも、先に電話やメールで意思を伝えた方が円満に進みやすいです。
ただし、口頭だけで終わらせるのは避けましょう。
電話で伝えた後は、必ずメールや書面で内容を残しておくことが大切です。
理由を伝える際は、担当者を感情的に責めるのではなく、事実に沿って穏やかに伝えます。
たとえば、次のような表現が使いやすいです。
角が立ちにくい伝え方の例
- 「販売活動の方針を見直したいと考えています」
会社への批判を避けながら方針変更を伝えられます - 「契約期間満了を機に依頼先を再検討したいです」
満了終了の場合に使いやすい表現です - 「今後の売却方針について家族で再検討することになりました」
売却方針そのものを見直す場合に適しています
実際には他社へ乗り換えるのに、事実と異なる理由を伝えるのはおすすめしません。
後から不信感を招く可能性があるため、できるだけ事実に沿った表現で、冷静に意思表示することが大切ですね。
解除通知書の書き方と必須項目のテンプレート

電話やメールで意思を伝えた後は、解除通知書を作成して書面でも残しましょう。
解除通知書は、専任媒介契約を解除する意思を明確に伝えるための文書です。
文面は難しくする必要はありませんが、対象となる契約や物件が特定できるように、必要事項を漏れなく記載します。
解除通知書の必須項目
- 文書の表題
専任媒介契約解除通知書など - 通知年月日
作成日を記載します - 宛先
不動産会社の商号、所在地、代表者名など - 差出人
売主の住所、氏名、押印または署名 - 対象となる媒介契約の締結日
契約書に記載された日付を確認します - 対象物件の所在地
物件を特定できるように記載します - 契約を解除する旨の意思表示
曖昧な表現ではなく明確に書きます - 鍵や書類の返却依頼
預けているものがあれば返却を求めます
簡単な文面例は以下のとおりです。
解除通知書の文面例
専任媒介契約解除通知書
私は、貴社との間で締結した下記不動産に関する専任媒介契約について、契約期間満了日をもって更新しないことを通知いたします。
対象物件:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
契約締結日:〇年〇月〇日
つきましては、預けている鍵、関係書類、販売資料等がある場合は、速やかにご返却くださいますようお願いいたします。
以上
途中解除の場合は、「契約期間満了日をもって更新しない」ではなく、「本通知をもって解除します」など、状況に応じて表現を変えましょう。
義務違反を理由に解除する場合は、具体的な違反内容や経緯を記載した方がよいケースもあります。
揉めそうな場合は、自分だけで文面を作り込まず、専門家に確認してもらうと安心です。
揉めそうな時は内容証明郵便も検討する

担当者が解約に応じてくれない場合や、違約金・広告費の請求で揉めそうな場合は、内容証明郵便の利用も検討しましょう。
内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったのかを郵便局が証明してくれる制度です。
さらに配達証明を付ければ、相手に届いた事実も証明しやすくなります。
通常の円満な解除であれば、メールや書面で足りることも多いです。
しかし、相手が解除の意思表示を無視する、受け取っていないと言いそう、不当な請求を受けているといった場合には、内容証明郵便が強い証拠になります。
内容証明を送ると相手に強い印象を与えるため、関係が悪化する可能性もあります。
そのため、使うべきか迷う場合は、弁護士などに相談したうえで判断するのが安全です。
契約解除後に鍵・書類・レインズ削除を確認する
契約解除が完了したら、不動産会社に預けていたものを必ず返却してもらいましょう。
空き家の内覧用として預けていた鍵や、建物図面、測量図、登記関係のコピー、固定資産税関係の資料などが対象になります。
特に鍵の返却は防犯上も重要です。
解除通知書やメールの中で、返却してほしいものを具体的に記載しておくとスムーズです。
また、専任媒介契約でレインズに登録されていた場合は、契約解除後に登録が削除されたかも確認しておきましょう。
必要に応じて、レインズの削除証明書を確認しておくと安心です。
前の会社の登録が残ったままだと、次の不動産会社が販売活動を始める際に支障が出ることがあります。
鍵・書類・レインズ登録の整理まで終わって、はじめて解除手続きが一段落すると考えておきましょう。
解除後から次の不動産会社へ依頼する流れ

前の専任媒介契約が完全に終了したら、次の売却活動に進みます。
ただし、焦ってすぐに別会社と契約するのではなく、前回の売却活動で何がうまくいかなかったのかを整理しておくことが大切です。
たとえば、価格設定が高すぎたのか、写真や広告文が弱かったのか、担当者の営業力に問題があったのか、報告が不十分だったのかを振り返りましょう。
次の不動産会社に依頼する際は、これまでの販売履歴や問い合わせ状況、内覧数、反響が少なかった理由などを共有すると、より具体的な提案を受けやすくなります。
ここでは次の不動産会社の選び方までは深掘りしません。
大切なのは、解除後すぐに同じ失敗を繰り返さないよう、過去の販売活動を整理してから新しい依頼先を検討することです。
失敗しない不動産専任媒介契約解除のまとめ
今回は、不動産専任媒介契約解除の考え方と手順について解説しました。
最も安全なのは、契約期間満了を待って更新しない方法です。
一方で、業務報告がない、レインズ登録がされていない、登録証明書が交付されないといった義務違反がある場合は、契約期間中でも解除を検討する材料になります。
売主都合で途中解除する場合は、違約金や費用償還のリスクがあるため、契約書の内容を必ず確認しましょう。
最後に、解除時のポイントを整理しておきます。
専任媒介契約解除の重要ポイント
- まず契約期間満了日を確認する
急ぎでなければ更新しない方法が最も安全です - 義務違反がある場合は証拠を残す
業務報告やレインズ登録の状況を確認しましょう - 売主都合の途中解除では費用条項を見る
違約金と費用償還を分けて確認します - 解除の意思は記録に残す
メールや書面で証拠化しましょう - 解除後は鍵・書類・レインズ削除を確認する
次の売却活動へ進む前に整理しておきます
専任媒介契約を解除したいと感じる時点で、不動産会社への不信感や売却活動への不安がかなり大きくなっていることも多いです。
だからこそ、勢いで動くのではなく、契約書、証拠、通知方法、解除後の確認事項を一つずつ整理して進めましょう。
冷静に手順を踏めば、余計なトラブルを避けながら次の売却活動へ進みやすくなります。
最終確認のお願い
この記事で解説した法律の解釈、費用の取り扱い、解除手続きについては、あくまで一般的な目安となります。
実際の対応は、媒介契約書の内容や個別事情によって異なります。
正確な情報は国土交通省などの公式サイトをご確認ください。
不動産会社との間でトラブルに発展しそうな場合は、ご自身だけで抱え込まず、弁護士などの専門家にご相談ください。
しっかりと現状を整理して、後悔のない不動産売却を目指しましょう。