
「子供の大学費用がピークを迎える頃には、自分の定年が目の前に迫っている」と焦りを感じていませんか。
子どもの大学進学と親の定年が近い時期に重なるご家庭は珍しくありません。
教育費と老後資金の板挟みに不安を抱える40代の方も多いでしょう。
初めまして、都内で管理職として働く現役大家「ぼちぼち大家」です。
不安を感じたときは、投資や借入を急ぐのではなく、まずは「いつ、いくら必要なのか」を整理することが大切です。
教育費と老後資金を同じ方法で準備する必要はありません。
本記事では、家計の確認、現金とNISAの使い分け、支援制度、そして相談先まで、ご家庭に合った両立の考え方を解説します。
この記事のポイント
- 教育費と老後資金が重なる時期の確認方法
を解説します。 - 子どもごとの教育費年表の作り方
がわかります。 - 年金・退職金・住宅ローンを含む老後資金の試算
の手順を示します。 - 家計から教育費と老後資金へ配分する方法
を整理します. - 現金・学資保険・NISAの役割
の違いを説明します。 - 授業料減免・給付型奨学金・貸与型奨学金の違い
を比較します。 - 教育ローンを利用する前の確認事項
をお伝えします。 - 資金不足が判明したときの調整方法と相談先
をご案内します。
結論|教育費と老後資金は別々に計算してから配分する
教育費と老後資金の両立を目指す場合、どちらか一方を諦めるのではなく、必要になる時期と不足額を別々に計算することが出発点となります。
最初に確認する4つの数字
計画を立てる前に、ご家庭の現状を示す以下の4つの数字を確認してみましょう。
- 子どもの大学入学までの年数
を把握しましょう。 - 教育費として準備できている金額
を確認しましょう。 - 進学までに積み立てられる金額
を計算しましょう。 - 老後資金の不足見込額
を試算しましょう。
教育費と老後資金を分けて管理する
目的と時期が異なる資金は、管理方針を分けることが大切です。
以下の表は、年数だけで金融商品を決めるものではなく、考え方の整理例として参考にしてください。
| 資金 | 使用時期 | 主な管理方針 |
|---|---|---|
| 入学前後に使う教育費 | 時期が明確 | 現金を中心に確保 |
| 数年先の教育費 | 比較的近い | 現金との配分を重視 |
| 老後資金 | 長期間使わない場合がある | NISA等も選択肢 |
| 生活防衛資金 | 時期を予測できない | すぐ使える現金 |
両立するための基本順序
両立に向けた具体的な手順は以下の通りです。
- 家計の実質黒字額を確認する
ことから始めます。 - 生活防衛資金を確保する
ことで足元を固めます。 - 教育費の支払時期と不足額を確認する
ステップへ進みます。 - 年金・退職金を含む老後収支を確認する
作業を行います。 - 現金と長期運用資金を分ける
基準を決めます。 - 支援制度・学校独自制度を確認する
ことで負担を減らせるか調べます。 - 不足する場合に奨学金や教育ローンを比較する
検討に入ります。 - 家族で親の負担範囲を共有する
話し合いを持ちます。
教育費と老後資金が重なりやすい理由

40代で資産形成を考える際、教育費と老後資金の負担が同時に重くのしかかるのには、いくつかの理由があります。
大学進学の時期と定年が近づく場合がある
晩婚化や出産年齢の高齢化により、子どもの大学進学時期と親の定年退職の時期が重なるケースが増えています。
子どもの年齢と親の年齢を同じ年表へ並べて、大学入学年、大学卒業年、親の定年予定年、住宅ローン完済予定年、退職金受取予定年などを確認してみましょう。
この期間が重なると、教育費の支払いが終わらないうちに収入が減少するリスクが生じます。
大学費用は授業料だけではない
大学進学にかかる費用は、入学金や授業料だけだと思われがちです。
しかし実際には、受験料、併願校への納付金、施設設備費、実験・実習費、教材・パソコン代などがかかります。
さらに、実家を出る場合は、通学費、引っ越し費用、家賃・生活費、仕送りといった住居関連費用も大きな負担となります。
ほかにも、留学費用や資格・実習関連費用必要になる場合もあります。
文部科学省の令和7年度調査では、私立大学学部の初年度学生納付金等の平均は約150.8万円ですが、文系・理系・医歯系などで大きく異なります。
平均額だけで計画を確定せず、志望校の募集要項や納付案内を必ず確認してください。
入学前後に支払いが集中する
教育費は、4年間の総額だけでなく、いつ支払うのかという月単位の時期の確認が重要です。
特に、受験申込、合格発表、入学手続き、前期授業料の納付、引っ越し、教材購入などは入学前後に集中します。
奨学金の初回振込がこれらの支払いに間に合わないこともあるため、事前の現金手当てが不可欠です。
教育費終了後の老後準備期間が短い場合がある
「子どもの教育費が終われば、その後は全額を老後資金の貯蓄に回せる」と考えるのは早計です。
教育費が終わった後も、住宅ローンの返済や住宅修繕費、親の介護費用などがかかる可能性があります。
また、ご自身の健康状態の変化や、役職定年による収入の減少、さらには子どもの独立支援など、想定外の支出が発生することも考慮する必要があります。
支援制度を年収だけで諦めやすい
高等教育の修学支援新制度には、授業料・入学金の減免と給付型奨学金があります。
令和7年度からは、多子世帯の学生について、所得制限なく一定額までの授業料・入学金減免が実施されています。
ただし、対象となる学校が限られていたり、扶養する子どもの数え方や学業要件などの条件があるため、単純に「子どもが3人いれば大学費用が全額無料になる」わけではありません。
表面的な年収の目安だけで諦めず、詳細な条件を確認することが大切です。
ステップ1|子どもごとの教育費を時系列で見える化する
まずは、各ご家庭の教育費のピークがいつ訪れるのかを把握しましょう。
進学までの年表を作る
子どもそれぞれの現在の学年や進学予定年をまとめた年表を作成します。
兄弟姉妹の進学時期が重なる年は、費用負担が急増するため、特に注意が必要です。
【ワーク】教育費の時系列見える化シート
お手元のノートやメモ帳に、以下のような表を書き出して記入してみましょう。
| 子ども | 現在の学年 | 大学入学予定年 | 想定進路 | 通学形態 | 準備済み資金 |
|---|---|---|---|---|---|
| (例)第1子 | 中学2年生 | 2030年 | 私立文系 | 自宅通学 | 200万円 |
| 第1子 | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) |
| 第2子 | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) |
| 第3子 | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) | (記入欄) |
進路を一つに決めず3案を作る
進路によって必要となる費用は大きく変わります。
そのため、費用が抑えめのケース、現時点で可能性が高いケース、費用が高くなるケースの3パターンで試算しておくことをおすすめします。
想定進路の例としては、国公立・自宅通学、国公立・一人暮らし、私立文系・自宅通学、私立理系・自宅通学、私立・一人暮らしなどが挙げられます。
「国公立なら必ず安い」「私立なら高い」と単純化せず、通学費や住居費等も含めて総合的に判断してください。
支払時期を月単位で確認する
年間でいくら必要かという総額だけでなく、入学前後に必要な現金を月単位で確認します。
奨学金の振込前に入学金等の納付期限が来る場合もあるため、学校の納付期限と制度の支給時期は別々に確認しましょう。
準備済み資金を整理する
現在、教育費として準備できている資金を洗い出します。
対象となるのは、教育費専用の預金、学資保険の受取予定額、子ども名義の預金、教育費目的の投資資産などです。
毎月の積立やボーナスからの積立額も把握します。
祖父母等からの援助予定については、金額が確定していない段階では準備済み資金に含めない方が安全です。
教育費の不足見込額を計算する
必要な金額から準備できている金額を差し引き、不足額を計算します。
教育費の不足見込額の計算式
教育費の不足見込額
=進学までに必要な教育費
-現在の準備済み資金
-進学までに積み立てられる金額
-利用が確定した給付・減免額
支援制度や奨学金については、採用が決まる前から確定額として計算に組み込まないように注意してください。
ステップ2|老後資金の現在地を見える化する
教育費の状況が把握できたら、次は老後資金の現在地を確認します。
老後の収入見込みを確認する
老後の主な収入源となるものをリストアップします。
公的年金、企業年金、退職金、iDeCo、NISAや投資資産、預貯金、保険の満期金・解約返戻金、定年後の就労収入などが考えられます。
日本年金機構の「ねんきんネット」を利用すると、現在の加入条件が続いた場合の簡易試算に加え、今後の働き方や受給開始年齢などを変更した試算が可能です。
老後資金を計算する際は、年金見込額を漠然とした推測で置かず、ご本人と配偶者それぞれの見込額を確認するようになさってください。
老後の支出見込みを確認する
老後の生活にかかる支出も予測します。
基本生活費に加え、住宅ローン、家賃、固定資産税、管理費・修繕積立金、住宅修繕費、医療・介護費、車の維持費、保険料、趣味・旅行の費用、子どもへの援助などが含まれます。
統計上の平均生活費は参考になりますが、それを一律の目標額にするのではなく、ご自身のライフスタイルに合わせた支出を見積もることが大切です。
住宅ローンが老後まで残るか確認する
持ち家の場合、住宅ローンの返済状況が老後の家計に大きく影響します。
現在の残高、金利、残り期間、完済予定年齢、ボーナス返済の有無、退職後の返済額、団体信用生命保険(団信)の加入状況を確認してください。
住宅ローンの負担が重く、貯蓄が難しいと感じる場合は、132番の記事で対策をご確認いただけます。
退職金を教育費へ使う前に残額を試算する
退職金を教育費に充てることを一律に禁止するわけではありません。
しかし、使用する前には慎重な検討が必要です。
教育費へ使う金額、使用後に残る老後資金、住宅ローン残高、年金と生活費の差額、定年後の就労予定、医療・介護への備えなどを比較し、老後の生活が破綻しないか確認しましょう。
老後資金の不足見込額を計算する
老後の収入と支出の予測から、不足額を計算します。
老後資金の不足見込額の計算式
老後資金の不足見込額
=老後の予想支出総額
-公的年金等の予想収入総額
-退職時点の見込資産
将来の物価上昇、運用成果、部署変更、そしていつまで働けるかといった要因は不確実です。
そのため、悲観的なケースを含め、複数の条件で試算しておくことを推奨します。
ステップ3|家計の年間収支で両立可能性を確認する

将来の必要額がわかったら、現在の家計からどれだけ資金を振り分けられるかを確認します。
直近3〜6か月の家計を確認する
まずは、現状の家計の収支を把握します。
毎月の手取り収入に対して、基本生活費、住宅費、教育費、保険料、車の維持費、借入返済、娯楽・交際費などがどれくらいかかっているか確認してください。
そして、毎月いくら貯蓄に回せているかを算出します。
年間特別支出を月割りする
毎月の家計簿には現れない、年間に数回発生する特別支出も忘れずに計算します。
固定資産税、自動車税、車検費用、保険料の年払い、学費、受験費、旅行・帰省費用、家電の買い替え、住宅修繕費、冠婚葬祭費などがこれに当たります。
これらの年間総額を12で割り、毎月の負担としてならして考えます。
毎月の実質黒字額を計算する
月々の手取りから、生活費と特別支出の月割り額を引いて、実質的な黒字額を計算します。
毎月の実質黒字額の計算式
毎月の実質黒字額
=毎月の手取り収入
-毎月の生活費
-年間特別支出の月割り額
-借入返済額
もし、ボーナスを含めなければ家計が赤字になってしまう場合は、その事実をしっかりと認識することが改善の第一歩です。
教育費と老後資金への年間配分を決める
算出された実質黒字額(年間)を、それぞれの目的にどのように配分するかを決めます。
教育費と老後資金の配分比率に一律の正解はありませんので、ご家庭の状況に合わせて設定してください。
【ワーク】年間黒字額の配分シミュレーションシート
家計から捻出できる黒字額をどのように分けるか、以下の項目に沿ってメモをしてみましょう。
| 年間黒字額の使い道 | 年間配分額 |
|---|---|
| (例)近い時期の教育費 | 50万円 |
| 生活防衛資金の不足分 | (記入欄)万円 |
| 近い時期の教育費 | (記入欄)万円 |
| 数年先の教育費 | (記入欄)万円 |
| 老後資金 | (記入欄)万円 |
| 住宅修繕等 | (記入欄)万円 |
| その他の予定支出 | (記入欄)万円 |
家計が赤字なら投資より改善を優先する
家計の計算結果が赤字の場合、無理に投資を始めるのは危険です。
まずは、毎月の収支を見直す家計の見える化記事や、132番の住宅ローン負担の軽減、135番の生活防衛資金の確保など、家計改善を最優先に取り組んでください。
教育費と老後資金はどちらを優先する?
両方の準備が理想ですが、資源には限りがあります。
優先順位の考え方を整理しましょう。
現在の生活と生活防衛資金を先に守る
将来の教育費や老後資金を準備するために、毎月の生活費を過度に削ったり、不測の事態に備える生活防衛資金まで使い切ってしまっては本末転倒です。
まずは、現在の生活基盤と緊急時の備えをしっかりと守りましょう。
支払時期が近い教育費を先に確保する
大学入学まで数年しか猶予がない教育費は、リスクをとって高い運用収益を狙うのは得策ではありません。
近い将来確実に必要となる資金は、優先的に安全な形で確保しておくことが重要です。
老後積立を減額する方法も検討する
教育費の負担が最も大きくなるピーク期間においては、老後資金の準備方法を柔軟に見直すことも選択肢です。
積立額を一時的に減らす、ボーナスからの積立を停止する、そして教育費の支払いが終了した後に再び増額する、といった調整を比較検討してみてください。
家計が赤字状態である場合は、老後積立を無理に続けることはおすすめしません。
老後積立を完全にゼロにする影響も確認する
もし老後積立を完全に停止する場合、その影響をあらかじめ試算しておきましょう。
積立を停止する期間と、教育費の支払いが終わってから退職するまでの残りの年数を考慮し、積立再開後に毎月いくら必要になるかを確認しておくと安心です。
親が負担する範囲を家族で話し合う
教育費の全てを親が負担しなければならないわけではありません。
学費をどこまで親が負担するのか、一人暮らしの費用はどうするのか、奨学金を利用するのかといった点を家族で共有しましょう。
本人のアルバイト収入をどのように位置づけるか、留学や大学院への進学をどう考えるか、そして親が無理なく支援できる上限額はいくらなのか、オープンに話し合うことが大切です。
一年度だけでなく複数年で調整する
家計の収支は、単年度だけでなく複数年のスパンで確認します。
受験から入学にかけての時期、在学期間中、卒業後から定年退職まで、そして定年退職後の4つのフェーズに分けて、資金繰りが成り立つかを調整してください。
現金・学資保険・NISAをどう使い分ける?
資金を準備する手段として、それぞれの特性を理解し、適切に使い分けましょう。
近く使う教育費は現金を中心に確認する
入学金や初年度の授業料など、近い将来に使うことが決まっている教育費は、必要な時期に確実な金額を確保しやすい預貯金などの現金を中心に準備します。
「預金はインフレで必ず損をする」と一概に断定することはできません。
流動性と確実性の高さは、教育費準備において非常に重要です。
学資保険は契約内容を確認する
学資保険に加入している場合は、一律に悪い商品と決めつけず、まずは契約内容を詳細に確認しましょう。
いつ受け取れるのかという受取時期、受取額、保険料の払込総額、保険料の払込期間をチェックします。
また、途中解約した場合の返戻金や、契約者に万一のことがあった場合の保障内容も重要です。
特に、大学の推薦入試などで入学金の納付時期が早まると、保険金の受取時期とずれてしまう可能性があるため注意が必要です。
NISAは非課税制度であり元本保証ではない
NISAは運用益等が非課税になる大変有益な制度ですが、教育費や老後資金を確実に増やす魔法の杖ではありません。
金融庁も案内している通り、NISAはライフプランに基づく資産形成の選択肢の一つであり、投資商品である以上、元本保証はありません。
NISAの注意点
投資には価格変動リスクがあり、必要なタイミングで資産価値が目減りしている可能性もあります。
教育費をNISAで準備する場合の注意点
教育費の一部をNISAで準備する場合、全額を値動きのある商品に集中させるのは避けましょう。
進学までの年数を確認し、もし市場が暴落した時でも必要額を支払えるだけの現金を残しておくことが鉄則です。
入学時期が近づいてきたら、運用残高と現金との配分を再確認してください。
目標としていた必要額に達した場合は、一部を売却して現金化することも有効な選択肢です。
目的に合わせて売却することを「複利効果を失う失敗」と捉える必要はありません。
老後資金のNISAも家計に合わせて調整する
老後資金を目的としたNISAの積立も、教育費のピークなど家計の状況に合わせて調整可能です。
積立の減額、一時停止、余裕ができた際の再開、あるいは必要に応じた売却といった行動は、柔軟な家計管理における選択肢として考えてください。
NISAを始められる家計状況かどうかの詳しい確認は、136番の記事で行えます。
授業料減免・奨学金・教育ローンを確認する順番
家庭内の準備だけで不足する場合は、外部の制度を順番に確認していきます。
最初に志望校・在籍校の制度を確認する
まずは、志望校や現在在籍している学校の制度を調べます。
授業料や入学金の正確な金額と納付期限を確認し、延納や分納といった支払い方法の相談ができるかどうかも調べましょう。
また、学校独自の奨学金、成績優秀者を対象とした制度、家計急変時の支援、授業料の免除・減免制度、寮や住居に関する支援などがないか、学校の公式窓口で確認することが重要です。
高等教育の修学支援新制度を確認する
国が行っている「高等教育の修学支援新制度」は、授業料・入学金の減免と、返還不要の給付型奨学金で構成されています。
令和7年度から拡充された多子世帯に対する支援では、所得制限のない授業料等の減免措置があります。
ただし、給付型奨学金まで無条件で受けられるわけではありません。
対象となる学校や、世帯状況、資産基準、学業成績などの条件があるため、必ず公式情報で詳細を確認してください。
給付型奨学金を確認する
日本学生支援機構(JASSO)などの給付型奨学金は、原則として卒業後の返還が不要な制度です。
利用には家計基準、資産基準、学業成績などの要件を満たす必要があります。
申し込む時期によって参照される住民税の課税情報が異なる場合があり、採用された後も毎年の状況によって支援区分が見直されることがあります。
予期せぬ失業などで収入が減った場合の「家計急変時の制度」も用意されています。
具体的な年収目安などは年度によって変わるため、申込年度の公式情報で最新の基準を確認するようになさってください。
貸与型奨学金を確認する
貸与型奨学金は、進学後の学費や生活費に充てるためのものであり、主に学生本人が卒業後に返還していく仕組みです。
利息がつかない無利子タイプと、利息がつく有利子タイプがあります。
検討する際は、毎月の貸与月額、卒業までの総借入額、適用される利率、返還が始まる時期、返還期間、 shadowを意識した毎月の返還額をシミュレーションしてください。
万が一返還が難しくなった場合の救済制度や、保証制度についても理解しておく必要があります。
子どもの卒業後の収入見込みと照らし合わせて、無理のない借入額にすることが大切です。
教育ローンは奨学金と区別する
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」などは、主に保護者が申込人となり、保護者が返済していく借入です。
入学前にも必要な費用に幅広く使えるメリットがありますが、奨学金とは性質が異なります。
子どもの人数に応じた世帯年収の上限などの利用条件がありますので、具体的な限度額や金利は公式情報を確認してください。
■貸与型奨学金と教育ローンの違い
| 項目 | 貸与型奨学金 | 教育ローン |
|---|---|---|
| 主な借入・返還者 | 学生本人 | 主に保護者 |
| 主な用途 | 進学後の学費・生活費等 | 入学前後を含む教育費 |
| 返還開始 | 原則として卒業後 | 借入条件による |
| 家計への影響 | 子どもの卒業後負担 | 親の現在・老後家計に影響 |
申込時期を早めに確認する
支援制度や奨学金は、予約採用、在学採用、学校独自制度など、制度によって申込時期が全く異なります。
例えばJASSOの予約採用は、高校在学中(主に3年生の春頃)に高校を通じて申し込むのが一般的です。
手続きの時期を逃さないよう、高校や進学先からの案内を早めに確認してください。
それでも教育費が不足する場合の対策
制度を利用してもなお資金が不足する場合、以下の対策を順に検討します。
親が負担できる上限額を決める
老後資金をすべて教育費に使い果たす前提で計画を立てるのは危険です。
家計の状況から、親として無理なく負担できる金額の上限を明確に設定しましょう。
進学パターンを比較する
教育内容と費用のバランスを見ながら、複数の進学パターンを比較検討します。
自宅から通学するか一人暮らしをするか、国公立か私立か、文系か理系かによって費用は大きく変わります。
また、併願する学校の数、留学の時期や有無、大学院への進学予定なども含めて、総合的に判断してください。
納付の延納・分納を確認する
まとまった金額の納付が難しい場合、納付期限の延長(延納)や、分割払い(分納)といった相談ができるか確認します。
学校によって対応が異なるため、必ず入試要項を確認するか、学校の窓口へ直接お問い合わせください。
奨学金の振込までの資金を確認する
奨学金の初回振込は、入学後になるのが一般的です。
そのため、入学金や前期授業料といった入学前の支払いに奨学金が間に合わない場合に備え、つなぎの資金をどのように準備するか、別途確認しておく必要があります。
教育費終了後の積立増額を試算する
教育費の支払いが終わった後、家計に余裕ができた分を老後資金の積立に回す計画を立てます。
教育費終了後の積立増額の試算
教育費終了後の年間積立額
=教育費期間中の老後積立額
+終了した教育費のうち積立へ回せる金額
ただし、教育費だった分が全額老後積立へ回せるとは限らないため、住宅修繕や親の介護など、他の支出も考慮して現実的な試算を行ってください。
働き方や退職時期を調整する
収入を増やすための手段として、配偶者の就労時間の増加、継続雇用による働く期間の延長、退職時期の繰り下げ、あるいは副収入を得るといった選択肢もあります。
ただし、これらは確実な収入として最初から資金計画へ組み込むのではなく、余裕を持たせるための調整弁として考えるのが無難です。
住宅費を見直す
毎月の支出の中で大きな割合を占める住宅ローンや住居の維持費が、資金計画を圧迫しているケースもあります。
住宅費の負担が重いと感じる場合は、132番の記事で対策をご確認ください。
不動産投資を教育費の解決策にしない
資産形成の一つとして不動産投資は存在しますが、教育費の確保という目的に対しては注意が必要です。
家賃収入は確定した収入ではない
不動産を所有して得られる家賃収入は、毎月決まった額が必ず入ってくるわけではありません。
空室の発生、家賃の滞納、突発的な修繕費用、管理費、固定資産税などの税金、保険料、さらには借入金利の上昇や、将来の売却価格の変動など、手残りの金額を左右する多くの要因があります。
教育費の支払時期と家賃収入は一致しない
大学入学時などには、まとまった資金が急に必要になる可能性があります。
毎月少しずつ入ってくる家賃収入だけで、これらの大きな出費に常に対応できるという前提で計画を立てることは避けるべきです。
住宅ローンと教育費がある状態で追加借入を急がない
ご自宅の住宅ローンの返済や教育費の負担がある中で、不動産購入のために新たな借入(ローン)を行うことは、毎月の固定費と家計のリスクをさらに増やすことにつながります。
不動産は教育費とは別の投資判断
不動産投資は、教育費、生活防衛資金、住宅ローンの返済、そして基本的な老後資金の目処が立った後、家計に十分な余力がある方が別途検討する選択肢です。
教育費の確実な準備方法としてではなく、ご自身の許容できるリスクの範囲内で判断してください。
4週間で教育費と老後資金の計画を作る
ここまでの内容を踏まえ、ご自身の計画を立てるための4週間のステップをご紹介します。
step
11週目|教育費の年表を作る
まずは教育費の全体像を把握します。
子どもの年齢・学年を記入し、受験年と入学年を確認します。
想定進路を3案作成し、自宅通学と一人暮らしの費用を比較してみましょう。
そして、いつ支払いが必要になるかを確認し、現在準備済みの資金を集計します。
このステップの到達目標は、いつ、いくら必要になるかを年・月単位で説明できるようになることです。
step
22週目|老後の収入と支出を確認する
次に、老後資金の現在地を確認します。
ねんきんネットで公的年金の見込額を確認し、退職金や企業年金の予定額も調べます。
現在の資産を集計し、住宅ローンがいつ完済できるか、その年齢を確認してください。
老後の生活費を概算し、老後資金の不足見込額を計算します。
到達目標は、教育費へ使える上限と、老後に残す必要がある金額を概算できるようになることです。
step
33週目|家計の配分を決める
将来の必要額がわかったら、現在の家計を調整します。
毎月の実質黒字額を計算し、年間特別支出を月割りして把握します。
生活防衛資金が確保できているか確認し、毎月の教育費積立額と老後積立額を設定しましょう。
教育費の支払いがピークを過ぎた後の積立額も試算しておくと安心です。
到達目標は、家計から年間いくら教育費と老後資金へ配分できるかを決められることです。
step
44週目|制度と不足時の対策を確認する
最後に、外部の制度や借入について調べます。
志望校の納付期限を確認し、授業料減免や学校独自制度が利用できないか調べます。
給付型奨学金、貸与型奨学金、教育ローンの条件を比較してください。
そして、親が負担できる上限を家族で共有し、必要であればどこに相談するかを決めます。
到達目標は、家計で準備する部分と、制度・借入・調整が必要な部分を区別できるようになることです。
半年ごとに計画を更新する
一度立てた計画も、状況の変化に合わせて見直すことが大切です。
子どもの志望校の変更、学費の改定、家計収入の増減、住宅ローンの借り換え、支援制度の変更、奨学金の採否結果、投資資産の残高変動、退職予定の変更などがあれば、計画を更新してください。
特に受験期は、半年を待たずに納付期限や申込期限に合わせてこまめに確認しましょう。
教育費と老後資金の相談先
ご自身だけで悩まず、必要に応じて専門の窓口へ相談してください。
■教育費と老後資金の相談窓口一覧
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 授業料・納付期限 | 志望校・在籍校 |
| 授業料減免 | 学校の担当窓口 |
| 給付型・貸与型奨学金 | 学校・JASSO |
| 国の教育ローン | 日本政策金融公庫 |
| 年金見込額 | ねんきんネット・年金事務所 |
| 家計・資金計画 | J-FLEC相談員・FP |
| 住宅ローン | 借入先金融機関 |
| 税金 | 税務署・税理士 |
J-FLEC(金融経済教育推進機構)では、教育資金や家計、住宅ローン、リタイアメントプランなどをテーマに、認定アドバイザーによる対面・オンラインの無料体験相談を行っています。
ただし、個別の金融商品の推奨や、個別具体的な税金計算は対象外となりますのでご留意ください。
教育費と老後資金に関するよくある質問
Q1:教育費と老後資金はどちらを優先すべきですか?
現在の生活と不測の事態に備える生活防衛資金を確保したうえで、支払時期が近い教育費と、老後の最低限必要な準備を並行して考えるのが基本です。
Q2:老後資金を教育費に使ってはいけませんか?
一律に禁止するわけではありません。
使用後の年金収入、住宅費、医療・介護費、 arenaの手元に残る資産を試算し、老後生活が成り立つかどうかで判断してください。
Q3:退職金で大学費用を払ってもよいですか?
退職後の生活費と住宅ローンの残高を確認し、教育費へ使った後に残る金額で生活が維持できるかによって判断します。
Q4:学資保険だけでは足りませんか?
学資保険の満期受取額と、計算した教育費の不足見込額を比較してください。
不足分については、現金積立なども含めて総合的に検討する必要があります。
Q5:教育費をNISAで準備してもよいですか?
資金を使用する時期、確保している現金残高、そして元本割れに対する耐性によって異なります。
入学直前に必要な資金を、全額投資で準備するような計画は避けてください。
Q6:NISAは老後まで売却しない方がよいですか?
NISA内の商品は、資金が必要になったタイミングで売却できます。
目的に合った引き出しであれば、それを一律に失敗と考える必要はありません。
Q7:年収が高いと奨学金や授業料減免を利用できませんか?
制度の内容、世帯状況、子どもの人数、保有資産、申込年度によって条件は異なります。
表面的な年収だけで対象外と決めつけず、公式情報や学校の窓口で確認してください。
Q8:奨学金と教育ローンはどちらを選びますか?
誰が借りて誰が返還するのか、金利、総返還額、返還開始時期、そして親の老後家計への影響を総合的に比較して選びます。
Q9:子どもに奨学金を借りてもらうのは問題ですか?
卒業後の毎月の返還額と総返還額を子ども本人と共有し、将来の進路や収入見込みも含めて家族でよく話し合って判断することが重要です。
Q10:住宅ローンが残っていても教育費を準備できますか?
家計の実質黒字額、ローンの残高、完済予定年齢、進学までの年数によって状況は異なります。
家計が苦しい場合は、住宅費の見直し等をご検討ください。
Q11:不動産投資の家賃で学費を払う方法は有効ですか?
家賃収入は確定しておらず、追加の借入や空室、修繕などのリスクを伴います。
そのため、教育費の確実な準備方法として前提にするのは避けた方がよいでしょう。
まとめ|教育費と老後資金は時期と不足額を分けて考える

教育費と老後資金を両立させるためには、どんぶり勘定をやめ、それぞれを別々に計算することが出発点です。
まずは、子どもごとの進学年表を作り、授業料以外の費用も含めた入学前後の支払時期を確認しましょう。
同時に、ご自身の年金、退職金、住宅ローンの状況を確認します。
準備においては、生活防衛資金を使い切らないことが大前提です。
近く使う教育費は現金を中心に考え、学資保険は受取時期と金額を確認します。
NISAは非課税制度ですが元本保証ではないため、特徴を理解して活用してください。
また、年収だけで支援制度を諦めず、給付型・貸与型奨学金と教育ローンの違いを理解して比較しましょう。
家賃収入などを教育費の確実な原資にすることは避け、不足が見込まれる場合は早めに学校や公的窓口へ相談することが解決の糸口となります。
まずはここから始めましょう
まずは、子どもの大学入学予定年、教育費として準備できている金額、ねんきんネットで確認した年金見込額を書き出しましょう。
教育費と老後資金を別々に計算すると、家計で準備する部分と、制度や相談が必要な部分が見えやすくなります。
会社や制度の力を借りながら、ご家庭に合った無理のない「確かな安心」を作り出しましょう。
今日が、その第一歩です。
免責事項
- 本記事は一般的な教育資金・老後資金情報を提供するものです。
必要額は家族構成、進路、居住地域、収入、資産等で異なります。 - 大学の授業料、入学金、納付期限は学校によって異なります。
募集要項などで最新情報をご確認ください。 - 奨学金・授業料減免には申込期限と要件があります。
制度は年度によって変更される場合があります。 - 支援対象や支援額は個別審査によって決まります。
審査基準をあらかじめご確認ください。 - 教育ローンには審査と利息負担があります。
無理のない返済計画をお立てください。 - 投資商品には元本割れや損失の可能性があり、NISAは利益を保証する制度ではありません。
ご自身の判断で行ってください。 - 不動産投資には空室、修繕、借入、売却等のリスクがあります。
確実な原資としての過信は避けてください。 - 年金見込額や退職金は確定額とは限りません。
定期的な確認をおすすめします。 - 個別の税務判断は税務署・税理士へ確認してください。
必要に応じて学校、JASSO、金融機関、専門家等へご相談ください。